コラーゲンについて

当社の3重らせん構造を持つコラーゲンは、独自技術で非加熱抽出・精製しています。
優れた保湿効果・高い純度(無臭)・高い変性温度・高いフィブリル化能の特徴があります。


コラーゲンの構造

コラーゲンは、分子量が約30万の生体高分子で3本のアミノ酸鎖から成る「3重らせん構造」を形成しています。ヒトや動物の皮膚などの生体組織に存在するコラーゲンと同じ構造で高い保湿性や生物機能性を有しています。
コラーゲンは、加熱すると3重らせんがほどけ1本鎖になります。この変化を「変性」と呼び、コラーゲンが分解されてゼラチンとなります 。さらにゼラチンを加熱や酵素などで分解し、低分子化したものがペプチドであり、加水分解コラーゲンと呼ばれることがあります。


コラーゲンの3重らせん構造は、比旋光度によって確認することができます。コラーゲンの比旋光度は-300~-450°を示しますが、ゼラチンに変性してしまうと3重らせん構造が崩れるため、値が-100~-200°に変化します。


アテロ化について

生体組織内のコラーゲンにはテロペプチドと呼ばれるアレルギー性を示す部位が存在します。当社では、酵素による低温抽出技術でテロペプチドを除去し「アテロ化」 することで、安全性を高めたコラーゲンを製造しています。


I型コラーゲン

人体を構成するコラーゲンは、約30種類存在し、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型・・・と分類されています。当社では、体内に最も多く存在しているⅠ型コラーゲンを製造しています。
皮膚を構成しているコラーゲンの約9割がⅠ型コラーゲンと言われています。また、このⅠ型コラーゲンは、皮膚の弾力のみならず骨や腱の強靭さを生み出すための重要な要素です。


安全・安心な原料

ウシやブタなどの哺乳類にはヒトに感染するウイルスが存在しますが、進化の過程が大きく異なる魚類にはヒトと共通のウイルスが確認されておりません。そのため魚由来のコラーゲンは安心安全な原料として注目されています。
魚由来のコラーゲンはフィッシュコラーゲン、マリンコラーゲンとも呼ばれています。
当社のコラーゲンは、熱帯魚ティラピアのうろこを原料としています。


独自の精製技術で高純度・無臭

コラーゲン素材(ペプチド、ゼラチンを含む)は、独特な臭いが感じられる場合あります。この臭いは、コラーゲン原料に使用されているウシやブタ・魚の皮に含まれる脂質などが原因と考えられています。
当社では魚のうろこを原料にコラーゲンを製造しています。うろこは、コラーゲンとヒドロキシアパタイトと呼ばれる成分で構成されており、脂質などの不純物の含有量が低いのが特徴です。さらに、独自精製技術を用いた製法により、高純度・無臭のコラーゲン溶液が得られます。


高い変性温度

魚由来コラーゲンの変性温度(コラーゲンからゼラチンに分解される温度)は魚の生息環境によって異なります。そのため哺乳類由来のコラーゲンと比較すると変性温度が低い傾向にあります。例えば、サケは約17℃と言われています。
当社のコラーゲンは、熱帯気候で養殖されているティラピアを原料にしているため、哺乳類由来のコラーゲンに匹敵する熱安定性(35℃~37℃)を持ちます。


フィブリル化能

コラーゲンは、皮膚などの生体組織でフィブリル構造を形成しています。フィブリル構造とは、コラーゲン分子が規則的に配列してできる構造のことです。コラーゲンは、弱酸性溶液中では分子が単分散し、溶液は透明ですが、中性~アルカリ性にするとフィブリル化し、白濁します。この溶液の白濁度合いをフィブリル化度とし、状態変化を見てみると、うろこコラーゲンは約3分でフィブリル化しました。
当社のうろこコラーゲンは、豚皮コラーゲンと比較すると、このフィブリル化速度が圧倒的に早いのが特徴です。


コラーゲンを塗布すると、表面でコラーゲン分子が配列してフィブリル膜という膜構造をつくります。以下の原子間力顕微鏡像はコラーゲンをディッシュにコートして室温で乾燥した時の表面状態を示しており、うろこ由来コラーゲンの方が綺麗なフィブリル膜を作ることがわかります。またフィブリル化することで、熱安定性も高まることが分かっています。


優れた保湿効果

コラーゲンの分子構造は、親水基と疎水基が外側に露出した状態になっています。コラーゲン分子の親水基に結合した水分子が、疎水部をひだのように覆う形となり、大量の水分子を保持することができます。そのため、コラーゲンは優れた保湿性を示し、化粧品に配合されることが多いのです。一方、同じく化粧品に配合されるペプチド(加水分解コラーゲン)は、低分子であるため水分子を吸着する部分が少なく、コラーゲンほど多くの水分を保持できません。


化粧水基礎成分とそれに3重らせんコラーゲンを配合したものを皮膚に塗布後、肌の水分量を経時的に測定した実験を実施しました。その結果、コラーゲン配合品は、肌の乾燥を防ぎ潤いを与え、キメの整った状態が長時間保持できることが示されました。

3重らせんコラーゲンとペプチド(加水分解コラーゲン)をお餅の表面(画像黒丸内)に塗布した比較実験では、ペプチドは表面にひび割れが確認されました。一方、コラーゲンはひび割れることなく潤いが保たれた状態で、コラーゲンの優れた保湿性が示されました。


化粧品における役割

コラーゲンは、3重らせん構造を維持するために低温製法で原料から抽出されます。生体組織と同じ構造で分子サイズは大きいため、皮膚の内部へ浸透せずに、表面にとどまり潤いを保ち、肌バリア機能をサポートします。
ペプチド(加水分解コラーゲン)は、原料から加熱抽出し、低分子化したものです。分子サイズが小さく、皮膚の内部に浸透し、細胞の活性化へ効果があるといわれています。


<参考文献>
*バイオインダストリー J.Tanaka, et al. Bio Industry, 26(8), 26-32(2009)
*マテリアルインテグレーション I.Yamaguchi, Materials Integration, 23(2), 17-22(2010)
*フレグランスジャーナル S.Kudo, Fragrance Journal, 43(3), 38-41(2015)

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多木化学株式会社
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